この会社は世界のライフサイエンス・医療診断機器分野のグローバル企業の日本法人として設立され、日本国内ににけるセールス&マーケティングを展開しています。
話し手
外資系医療機器メーカー
元人事総務部長
原田 あけみ 様
外資系医療機器メーカー 元人事総務部長 原田 あけみ 様
聞き手
なぜ外資の医療機器メーカーでチームビルディングワークショップをやろうと思われたのでしょうか?
話し手)原田さん
私は転職で人事部に入社しました。入社当時ののミッションは、エンゲージメントのカイゼンでした。グローバル企業なので、各国ごとにエンゲージメントサーベイを行いますが、日本は特に低いんです。大体グローバルでは、たいてい低くても40-50%なんですが、日本は28%です。国民性もあるのですが、あきらかに低い状態でした。
エンゲージメントは低いのですが辞める人は少ないのです。社員にヒアリングしていくと、みんな案外この会社は好きだと言うことわかりました。「好きは好き」なんだけど、不満も結構溜まっている状態でした。理由として「会社に話しを聞いてもらえていない。」ということが非常に多くの社員が思っていることでした。そして、会社へのエンゲージメントが低いと、会社や製品に対して社内でネガティブな言葉がでてきて、それ自体が社員間や組織に響いてしまっていくような状態です。そのような不満がそれぞれにある中で、日々の業務ではいろんなことが本社や上司などが降ってきて、コミュニケーションがトップダウンの一方通行が当たり前になっていました。外資系ということもあり、日本法人自体が、海外の本社や親会社との関係性によって成り立っていますし、日本の状況を理解してもわらわないといけません。日本の状況が理解されないと、日本法人や日本のスタッフが思ったことができなくなります。この会社やこの仕事が好きなんだけど、会社に聞いてもらえないことで会社へのエンゲージメントが低くなっているようでした。会社が好きだから不満という形で行動や言葉にでてしまう循環ができていました。
そして、当時この会社に転職して3年目でした。低迷しながらも施策を打ちながら上向きに変わってきた時期です。私達には米国に親会社があり、グループないでは日本はハイグロースマーケットとなっており毎年10%超の成長が求められます。日本法人は優秀の人材も多く施策を打ちながら一生懸命に努力して目標を達成していくんです。そして、親会社からは、来年も10%成長をもとめられるという繰り返しです。そんな中で、社員は「いつまで頑張ればいいのか」「どこまで努力すればいいのか」という思いが募り、疲弊を強く感じていました。せっかく努力しても、「10%成長」が当たり前に落ちてくる状態で、社員は心身ともに負荷を感じていたのです。
私は、この状況に非常に危機感を覚え、何か改善策はないかと考えました。その中で必要だと感じたのが、「数字以外で、この会社で働く意味やこの職場の価値を伝える言葉、共通言語」でした。これが理念と呼べるものかもしれません。この会社はグローバル企業であり、共通のタグライン英語では持っていました。これは良い言葉だと思いますが、日本法人の社員一人ひとりが心に理解し、腹に落ちているかどうかは別です。また、日本語に訳した際の解釈や感じ方にもバラつきがあり、共通理解や共通言語にはなっていませんでした。必要なのは、数字だけではなく、社員一人ひとりが共鳴・共感できる共通言語です。そのための手法として、私はチームビルディングが非常に有効だと考えました。
チームビルディングを行うまでの組織のコミュニュケーションの改善
話し手)原田さん
チームビルディングを実施する至る前に、組織のコミュニケーションの改善に取組んでおりました。まずは、組織の会議、情報共有の方法です。
以前は社員に対して会社の目標や進捗状況が共有されず、情報の開示も制限されていました。しかし、情報を理解してもらうことの重要性を説明し、情報開示を進めた結果、社員からはよりタイムリーな情報提供の要望が増え、部門ごとに短時間の情報共有ミーティングが行われるようになりました。
また、英語で提供されるグローバル情報に関して、英語ができる社員とできない社員の間で情報格差が生じていました。日本法人の社員のうち英語ができる人は約半分だったため、もう半分には情報が届かない状況でした。そこで、私は親会社からの情報も日本語で共有するようにし、情報の共有を促進しました。この結果、情報の共有が進み、風通しの良い組織環境が整い、双方向のコミュニケーションも促進されました。こうした取り組みにより、組織全体のコミュニケーションが活性化され、さらに各部門のリーダーの中には、情報共有の重要性に理解を示す人材も育ちました。これらの状況の変化は、日本法人としての「共通の言葉」づくりを進める上で、大きなタイミングとなりました。
では、なぜトゥーリアにチームビルディングワークショップを依頼されたのでしょうか?
話し手)原田さん
先に話したように、私にとってやりたいことは明確でした。いろいろな経営コンサルやコーチングの会社に問い合わせをして、やりたいことを伝えるのですが、先方から出されるのは、私達のやりたいことに対する提案ではなく、先方の持っているメニューが単に足し算や掛け算で提示されることが続き、なんかもとめているものと違うだよなと感じていたんです。そんなとき、20代くらいの頃、札幌のホテルで同僚だった山屋さんのことを思い出しました。たしか、コーチングで独立していたっていってたなと記憶していました。そして、私達がもとめているのは、ツールやソリューションの提案ではなく、私達の思いや心を傾聴して、みんなの話を引き出し気づきをまとめてくれることだよなと考えたときに、あの山屋くんならなんかうちのチームに入り混じってぐちゃぐちゃやってくれそうな気がして連絡してみました。
トゥーリアは、私たちの課題や、その課題に対してやりたいことに合わせて、チームビルディングを設計し、提案してくれました。それまでの会社では、1〜2回のミーティングで終わってしまうことがほとんどでしたが、トゥーリアとは、実際にチームビルディングを実施するまでに、何度も打ち合わせを重ねました。時には関連部署も交えて、詳細に議論を進めることができました。
実際にどんなチームビルディングだったのでしょうか?
話し手)原田さん
日本法人のリーダー以上の幹部12-13名で2日間朝10時から夕方7時まで通しで実施しました。参加者にとってはあっと言う間で、全員がエネルギーは途切れずやりきったというこのでした。とにかく、セッションでの脳の使い方がいつもの仕事とは全く違うので、いい意味での心地よい疲れが感じられるセッションと好評でした。そして、最終的には目的だった理念もみんなでつくりあげることができました。ここでみんなで産み出した言葉は「お客さまの行動に真実を」です。クライアントに自信をもって伝えられる自信のある言葉となり、参加者一人残らず達成感と充実感そして誇らしさが醸し出されていたんです。
セッションのはじめですが、今回参加したリーダーたちもそれぞれが人間関係があったわけでもなくコロナ禍ということもあり、ちょっとお互いが疎遠が感じの雰囲気ででした。そして、組織として縦のコミュニケーションがとれていないので、いきなり社長も含めたセッションがはじまり、あるリーダーとかは社長への違和感とかは伝わってきたのは覚えています。
最初はそんな雰囲気でしたが、ファシリテーターのトゥーリアが人間関係を敏感に感じ取り、それぞれが話しやすい場を巧みに構築していったのが良かったですね。事前の打ち合わせで、社長への了解も得ていましたが、部下が話しやすいように、社長(上司)を楽しく話しかけやすい存在(いじることで親しみやすさを演出)に仕立てあげる工夫や、全員の参加を促す仕掛けも行いました。最初のウォームアップテーマは、「他の人が知らない秘密を共有する」でした。まず、トゥーリアの山屋さんが自分をさらけ出して場をつくり、その後、それぞれが「秘密」を打ち明けていきました。参加者にとって、この最初の質問のインパクトは大きかったようです。最初は戸惑いやためらい、ぎこちなさもあり、社内の人間関係もあってなかなか話せない状況でしたが、トゥーリアは参加者のバリアを工夫して取り除き、カジュアルで自然に話しやすい環境を徹底的に作り出しました。次第に参加者の意識も高まり、場の雰囲気がほぐれてきました。彼女はテーマをリードしながらも、言葉を生み出すヒントや事例を都度提供し、参加者が自然に言葉を引き出していく流れを作っていきました。その結果、みんながテーマに集中し、エンゲージメント(参加者の意識)が高まっていきました。この流れが生まれると、参加者それぞれの個人的な関係性にも変化が現れ、議論や話すテーマに対しても、自分たちの会社への思いに対して、前向きな化学反応が次々と生まれていきました。初日の午後からは、そのような自発的な議論が自然にできるようになっていったのです。
このような状態になると、トゥーリアは単に発言を促すのではなく、議論を整理し、参加者全員が理解し納得できる言葉を紡ぎ出し、まとめていきました。それぞれの立場においても、自分ごととして捉え、自分のステークホルダーに自信を持って伝えられる言葉にすることが目標です。その結果、全員が参加し、納得して響き合う言葉、「お客さまの行動に真実を」を時間内に創り上げることができました。これは、できたアウトプットだけでなく、その創り出す過程や体験自体が、チームに強いポジティブなインパクトを残しました。さらに、こうして生まれた言葉を社内に広げていくことも、当事者同士がぶつかり合いながら築いたものであるため、浸透も自然に進みやすかったと感じています。
チームビルディングがもたらした効果はありましたか?
話し手)原田さん
効果は非常に大きかったと感じています。これは、単なるチームビルディングワークショップだけによるものではなく、組織のコミュニケーション手法やあり方が変わったことに加え、共通の価値観である理念を持つことができたからだと思います。日本法人が営業数字以外の仕事や職場においても、共通の言語を持つことができたのは、こうした取り組みを通じて得られた成果だと考えています。特に、こうした価値観や共通言語を構築していくうえで、ワークショップが非常に重要な役割を果たしたと思います。
変わったポイントをいくつか紹介すると、まず、組織のコミュニケーションが大きく変化しました。それまでは、上司と部下、社長と社員といった関係において、本質的なコミュニケーションが十分になされていませんでしたが、今ではしっかりと話す文化に変わっています。以前は、「どうせ俺は」「私たちは」などと卑下したり、消極的な姿勢の方が多かったのですが、このワークショップ以降は、自発的に行動を起こす風潮が生まれ、実際に変化を生み出すことができるようになりました。組織の風通しも良くなり、人の話を聞く・話されるという安心感が生まれ、それぞれが自分にできることを積極的に取り組もうとする、自発的で能動的な組織へと変わりつつあります。こうした変化は、今やこの会社の文化の一部になってきていると実感しています。
ワークショップで生まれた言葉「お客さまの行動に真実を」は、参加したリーダーたちを通じて各部門、そして社内全体に展開されました。各部門では、この言葉の意味について議論し、ステークホルダーや顧客視点から「自分たちがどうありたいか」を考え、それを具体的なアクションプランに落とし込みました。全社的にも、今後3年の方針として発表され、この言葉を軸に社員の意識に変化が生まれました。自分たち自身が納得して生み出したこの言葉だからこそ、深く浸透し、単なる目標ではなく、「お客さまへの誓い」として、働き方そのものがよりお客さま志向へと変わったと感じています。
エンゲージメントの低い組織では、悪いニュースばかりが共有されやすく、自社製品のネガティブな面に偏った見方が広がる傾向がありました。しかし、トゥーリアのワークショップを通じて社員が会社への想いを共有し、共に作り上げた理念が共通言語となったことで、より多くのお客さまのポジティブな声を拾い、社内で共有できるようになりました。その結果、組織に前向きな変化が生まれました。また、部門間でも理念を軸に自発的に協働が進み、営業部門がお客さまの学会のお手伝いを率先して行い、それを他部門も巻き込んで支援するなど、有機的な連携が生まれました。こうした取組みによって、組織がより連携しやすくなり、営業活動にも良い連鎖が起きています。
グローバル本社との関係にも変化が見られました。以前は、日本法人からの製品不具合の声がグローバル本社に届きにくく、日本法人にとって気が思く、鬱憤がたまりがちでした。しかし、リーダーたちが前向きに行動し、部門間で連携しながら本社への伝え方を工夫するようになると、日本のお客様の声がより正確に届くようになりました。その結果、グローバル側も日本市場の重要性を認識し、日本の要望が品質向上に役立つと理解され、意見がより積極的に受け入れられるようになりました。
こうした前向きな組織への変化の結果、営業成績は10%以上の成長を継続できるようになり、グローバルのプレジデントアワードを受賞するなど、日本法人としての存在感も回復しました。これは、働く拠り所となる理念を共通言語として日本法人全体で共有し、数字だけを追う疲弊感のはる働き方から脱却したことで、社員の意識や行動が変わったことが大きな要因だと感じています。